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子宮内膜症とはどのような病気でしょうか。 | ||
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経時痛、排便時痛、性交時痛、骨盤痛などの疼痛症状および不妊を主訴として近年著しく増加している疾患です。 |
原因は何でしょうか。 | ||
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根本的原因は、はっきりしていませんが子宮の内側を覆っている粘膜(子宮内膜)に
類似の細胞が子宮内膜以外の所に存在し、
その病変部が子宮内膜と同じように月経の度に出血、炎症を繰り返す結果、
その部の肥厚や硬化、癒着を起こします。 その状況によって疼痛や不妊の原因ともなります。 卵巣にできた場合は卵巣内に貯留した血液が腫瘤を形成し、 その内容物の色からチョコレート嚢胞と呼ばれます。 エストロゲンという女性ホルモンによって増殖、進行し、 腫瘍的な性格も持つことから類腫瘍として扱われています。 |
治療にはどのようなものがありますか。 | ||
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治療の対象は大きく疼痛、不妊症、卵巣チョコレート嚢胞の3つに分けられますが、
それぞれが重複する事も稀では有りません。 疼痛に対しては軽度なものではまずは対症療法としての鎮痛薬や漢方薬が使われます。 さらに積極的な治療のためにホルモン療法や手術療法が選択されます。 ホルモン療法には低用量ピル、黄体ホルモン療法、ダナゾール療法、 GnRHアナログ療法といわれるようなものがあります。 低用量ピルは排卵や子宮内膜の増殖を抑えることから以前より避妊の副効用として 月経量も減り月経痛の緩和が認められていましたが、 本年7月より子宮内膜症に伴う月経困難症の治療薬として一部のピルで保険適応が認められました。 また、本年1月からは新しい黄体ホルモン療法が内膜症治療の選択肢に加わりました。 子宮内膜の増殖の抑制と卵巣機能の抑制によって有効性を示すと考えられています。 さらには男性ホルモンに近い薬剤を使って子宮内膜を萎縮させるダナゾール療法や子宮内膜症が 女性ホルモンの刺激で進行することから、 逆に卵巣からの女性ホルモンにブレーキをかけるGnRHアナログ療法も行われています。 それぞれの薬剤には一長一短があり、一概にどれがいいというものではありません。 なお、手術療法は内膜症病巣の除去や内膜症によってできた癒着を剥がす保存手術と、 重症の場合で妊娠の必要がない、あるいは希望しない場合、卵巣や子宮を摘出する根治手術に分けられます。 不妊症に関しては原因不明の不妊女性の20~50%は子宮内膜症を合併していると言われています。 近年の日本の晩婚化や高齢妊娠といった社会的状況と合わせ、疼痛のところで述べた薬物療法だけではなく、 早期より腹腔鏡下手術や体外受精などの生殖補助医療を行う機会も増えているようです。 卵巣チョコレート嚢胞では、その0.5~1%が卵巣癌に移行する可能性が示唆されており、 年齢や大きさ、嚢胞内の画像所見を考えながら手術も視野に入れて観察していく必要があります。 最後に最も大切なことは、かかりつけの医師にご自分が何を望み、 どのような治療を希望するのかを伝え、最善の治療方法を選択していくことでしょう。 |