診療科概要
病理診断科では、常勤の病理専門医が患者さんの体から採取された病変の組織や細胞を顕微鏡で観察して診断を行っています。大きく組織診と細胞診に分けられ、これらの診断結果は主治医に報告され、適切な治療方針の決定に役立てられます。
主な対象疾患
病理診断の対象は広く、ほぼ全ての診療科の疾患が該当します。
検査・診断
組織診
病変を採取し、肉眼的・顕微鏡的に観察することで病気の診断を行います。内視鏡検査の際に採取されるような病変のごく一部の小さな組織であったり、がんの手術のように病変全体を含む大きな組織であったり、体のあらゆる部位のあらゆるサイズの組織が診断の対象となります。結果報告まで小さなもので2~3日、大きなもので1~2週間かかります。
また術中迅速診断も行っています。これは手術の最中に病理組織学的な診断を得たいときに行われるもので、外科医が病変の一部を提出してから病理診断の結果報告まで15分~30分程です。がんが全部取りきれているかなどを診断し、その結果次第でその後の手術の方針が決まるとても重要でスピードが求められる検査です。
細胞診
細胞検査士を中心に業務を行っています。
病変部から採取した細胞の良性・悪性を病理医とともに診断しています。細胞診は子宮がん検診などでも行われている検査で、病変の早期発見に重要な役割を担っています。
病理解剖
不幸にして亡くなられた患者さんの解剖をご遺族の承諾のもとに行います。生前の診断が適切であったか、治療の効果はどうであったか、病変の進行状態はどうか、最終的な死因は何であったかなどについて全身の検索を行います。その結果は主治医や担当病理医を含む大勢の医師による合同検討会で共有されます。他の方法では得難い知見が得られるため、医学の進歩への大きな貢献となります。
診療体制
常勤医師(病理専門医・細胞診専門医)1名、非常勤医師1名(病理専門医)、臨床検査技師3名(いずれも細胞検査士)で病理検査・診断業務全般を行っています。また、診断においては久留米大学医学部病理学講座と連携をとり診断精度の向上に努めております。
診療方針
精度の高い診断結果を素早く報告できるよう努めています。
検体の受け取りから診断の報告に至るまでのプロセスにおいて、ミスが起きないようなチェック体制の構築に努めています。
認定・指定施設
- 日本病理学会研修登録施設
- 日本臨床細胞学会教育研修施設
- 久留米大学医学部卒前並びに卒後教育のための教育関連診療科
メッセージ
病理診断は、治療方針の決定や病気の予後を判定するために重要な役割を担っています。私達が患者さんと直接顔を合わせることはありませんが、皆さんの主治医である各診療科の医師と密接にコミュニケーションを取りながら、最良の医療が提供出来るように質の高い診断を心がけています。
スタッフ紹介
臨床検査科長
矢野 雄太やの ゆうた
- 専門領域
- 病理診断 / 細胞診
- 専門医等
-
- 日本病理学会病理専門医
- 日本臨床細胞学会細胞診専門医
- 厚生労働省死体解剖資格認定
診療実績
2023年度
- 組織診
- 約2,300件(うち術中迅速検査:約60件)
- 細胞診
- 約3,900件